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バージョン: 18

変数

4D のデータは、根本的に異なっている 2つの方法で保持されます。 フィールド はディスクに永続的にデータを保存するのに対し、変数 はメモリ上に一時的にデータを格納します。

データベースを作成する際には、フィールドに名前とデータタイプを指定します。 同様に、変数にも名前と データタイプ を指定します。

変数はランゲージの要素です。画面上に表示されることのない、裏方に徹した変数を作成・利用することができます。 もちろん、フォーム上に変数の値を表示することもできます (ポインターやBLOBを除く)。また、変数に値を入力したり、変数の値をレポートに印刷したりすることも可能です。 このとき、入力可や入力不可の変数オブジェクトはフィールドオブジェクトと同様に振舞い、提供されるコントロールも類似しています。 フォーム上のボタン、リストボックス、スクロールエリア、ピクチャーボタンなどのオブジェクトも変数を使って制御することができるほか、保存不要な計算結果を表示させることもできます。

変数の作成

変数を作成するには、"コンパイラー" または "配列" テーマのコマンドを使って変数を宣言します。

注: 配列とは、変数の一種です。 配列とは、同じタイプの変数を番号付きで並べたものです。 詳細については 配列 を参照ください。

たとえば、テキスト変数を宣言するには次のように書きます:

 C_TEXT(myText)

注: この方法は推奨されませんが、単純に使用することによって変数を作成することもできます。フィールドのように、正式にそれらを定義することは必須ではありません。 たとえば、今日の日付に30日を加えた日付を保持する変数が必要な場合、以下のように書くことができます:

 MyDate:=Current date+30 // MyDateを作成し、そこに30日後の日付が代入されます

いったん作成された変数は、データベースで必要とされる場所に使用できます。 たとえば、テキスト変数を同じタイプのフィールドに格納するには次のように書きます:

 [MyTable]MyField:=MyText

いくつかの基本的な変数宣言の例です:


C_BLOB(vxMyBlob) // プロセス変数 vxMyBlob を BLOB型として宣言します
C_DATE($vdCurDate) // ローカル変数 $vdCurDate を日付型として宣言します
C_LONGINT(vg1;vg2;vg3) // 3つのプロセス変数 vg1, vg2, vg3 を倍長整数型として宣言します
C_OBJECT($vObj) // ローカル変数 $vObj をオブジェクト型として宣言します
C_COLLECTION($vCol) // ローカル変数 $vCol をコレクション型として宣言します
ARRAY LONGINT(alAnArray;10) // プロセス変数 alAnArray を 10個の倍長整数型要素を持つ配列として宣言します

変数への代入

変数を対象に、データを格納したり、格納したデータを別の対象にコピーしたりすることができます。 変数にデータを格納することを、変数にデータを代入すると言い、代入演算子 (:=) を使っておこないます。 代入演算子はフィールドに対してデータを代入する場合にも使います。

代入演算子は、変数を作成し、変数にデータを代入するために使用します。 作成する変数名を代入演算子の左側に書きます。 例:

MyNumber:=3

は変数 MyNumber を作成し、数値 3を代入します。 MyNumber が既に存在していれば、そこに数値 3が代入されます。

もちろん、変数からデータを取り出すことができなければ、便利とはいえません。 再度代入演算子を使用します。 [Products]Size というフィールドに MyNumber 変数の値を代入するには、代入演算子の右側に MyNumber を書きます:

[Products]Size:=MyNumber

これで、[Products]Size の値は3になります。 この例はとても単純ですが、ある場所から別の場所へランゲージによってデータを転送させる基本的な手順を表しています。

配列要素にデータを代入するには中カッコ ({...}) を使用します:

atNames{1}:="Richard"

ローカル、プロセス、およびインタープロセス変数

ローカルプロセス、および インタープロセス という、3種類の変数の変数を作成することができます。 これらの変数の違いは使用できるスコープにあります。また、それらを使用することのできるオブジェクトも異なります。

ローカル変数

ローカル変数はその名のとおりメソッド内でローカルであり、変数が作成されたメソッドの範囲内でのみ使用可能で、その他のメソッドからはアクセスできません。 メソッド内でローカルであるというのは、正式には「スコープがローカルである」といいます。 ローカル変数は、その使用範囲をメソッド内に限定するために用います。

ローカル変数は、以下のような目的のために使用されます:

  • 他の変数名との重複を避ける。
  • データを一時的に使用する。
  • プロセス変数の数を減らす。

ローカル変数の名前は必ずドル記号 ($) で始め、この記号を除く31文字までの文字を指定できます。 これより長い名前を指定すると、4D は余分の32文字以降を切り捨てます。

多くのメソッドや変数を持つデータベースで作業する場合、現在作業しているメソッドの範囲内で一時的に変数が必要となる場合がよくあります。 この場合、同じ変数名が他で使用されていないかどうかを気にすることなくローカル変数を作成することができます。

データベースではしばしば、ユーザーによる少量のデータ入力を必要とする場合があります。 Request コマンドを使って、この情報を取得することができます。 このコマンドはデータ入力を求めるダイアログボックスを表示し、 ユーザーがデータを入力すると、その情報を戻り値として返します。 このようなデータは通常、メソッド内で長時間維持する必要はありません。 これは、ローカル変数を使用する典型的な例といえます。 次に例を示します:

 $vsID:=Request("ID を入力してください:")
If(OK=1)
QUERY([People];[People]ID =$vsID)
End if

このメソッドは、ユーザーに ID を入力するように要求します。 ローカル変数 $vsID にレスポンスが代入され、ユーザーが入力した ID に基づいた検索がおこなわれます。 このメソッドが終了した時点で、$vsID ローカル変数はメモリから消去されます。 この変数は 1回のみ、このメソッド内でしか使われないため、これ以上維持する必要はありません。

注: メソッドに渡される $1, $2...等の引数はローカル変数です。 詳細については パラメーター を参照ください。

プロセス変数

プロセス変数は、同じプロセスの範囲内に限り使用可能です。 この変数はプロセスメソッドと、そのプロセス内で呼び出された他のメソッドで使用することができます。

プロセス変数には名前に付ける接頭辞がありません。 プロセス変数の名前は、最大31文字までの長さで指定できます。

インタープリターモードでは、変数は動的にメモリ上に作成・消去されます。 これに対してコンパイルモードでは、作成したすべてのプロセス (ユーザープロセス) で同じプロセス変数定義が共有されますが、変数のインスタンスはプロセス毎に異なるものとなります。 たとえば、プロセスP_1 とプロセスP_2 の両方においてプロセス変数 myVar が存在していても、それらはそれぞれ別のインスタンスです。

バージョン6より、GET PROCESS VARIABLESET PROCESS VARIABLE を使用して、あるプロセスから他のプロセスのプロセス変数の値を取得したり、設定したりできるようになりました。 これらのコマンドの利用は、以下のような状況に限定することが、良いプログラミングの作法です:

  • コード内の特定の箇所におけるプロセス間通信
  • プロセス間のドラッグ&ドロップ処理
  • クライアント/サーバーにおいて、クライアントマシン上のプロセスとサーバーマシン上のストアドプロシージャー間の通信

詳細については プロセス の章と、各コマンドの説明を参照ください。

インタープロセス変数

インタープロセス変数はデータベース全体で使用することができ、すべてのコオペラティブプロセスで共有されます。 これらは主としてプロセス間で情報を共有するために使われます。

プリエンプティブプロセスにおいては使用できないことと、コードの保守管理を煩雑にすることから、インタープロセス変数の使用は推奨されません。

インタープロセス変数の名前は、必ずインタープロセス記号 (<>) で始めます。記号の後に31バイトまでの名前を指定できます。

クライアント/サーバーでは、各マシン (クライアントマシンとサーバーマシン) で同じインタープロセス変数定義を共有しますが、マシンごとに各変数のインスタンスが存在します。